【瓦屋根再考】屋根は生き物、瓦は人間のよう

生き物はその生息地の気候に順応して進化してきました。または自分に合う環境の所へ住処を移していきました。では「家」はどうでしょう?
 家屋において外気の影響を最も受けるのが屋根です。築50年以上の日本家屋を見れば、その土地の気候・風土が想像できます。台風が多い地域ならではの施工、雪に耐える工夫など、瓦屋根はその土地によって姿を変えるのです。
 お互い様の「互」という字と「瓦」が似ているように、瓦はそれぞれに役割があり、隣の瓦と互いに作用し合い屋根面全体の強度を担っています。そして焼き物であるがゆえ似たような外見でも1枚として全く同じモノは無いと言っても過言ではありません。まさに人間のよう。
 その土地に住む人の想いなどが役物瓦(平部の地瓦に対して各部位ごとに使われる瓦の総称)に現れます。人の営みが瓦文化を創っていったのです。
 ちょっと屋根を見上げてください。そこには先人たちの知恵や想いが詰まっています。台風もくれば雪も降るこの日本で生きていくにあたり、それらを無視することはできないのではないでしょうか。
 これから屋根のこと、瓦のことをここで発信していこうと思っています。この記事をキッカケに、少しでも瓦屋根に興味を持っていただければ幸いでございます。

有限会社山三瓦工業
服部竜大